歌上達には声帯閉鎖が必須?声帯閉鎖のトレーニング方法
2020.08.07
- 声帯閉鎖のやり方がわからない…
- 声帯閉鎖の練習方法が知りたい
本記事では、声帯閉鎖についての疑問にお答えします。
声が出る仕組みには、声帯が大きく関係しています。発声するときに、実は声帯が閉じたり開いたりしていることをご存じでしょうか。声帯をうまくコントロールできるようになることで、さまざまな声質の声を出せるようになります。そこで本記事では、声帯閉鎖の知識と鍛えるメリット、具体的なトレーニング方法を解説しますので、一緒にみていきましょう。
声帯閉鎖とは?声帯の閉じ具合による声の違い
声帯閉鎖とは、その名のとおり声帯が閉じている状態のことです。まずは、声帯がどのようなものなのか確認していきましょう。
声帯は、喉の奥にある2枚のひだでできている器官です。声帯が振動することで声が出ます。声帯は呼吸するときには開いていますが、完全に開いた状態では声は出ません。反対に、声帯が完全に閉まっていても声は出ません。声を出すには、適度な力加減で声帯を閉じて発声する必要があります。
適度な力加減で声帯が閉じて発声できているときは、「ベルヌーイの定理」と言われる物理現象が生じています。簡単に説明すると、2枚の声帯の間に適切な息が流れていれば、声帯同士が勝手にくっついて振動するというものです。
したがって、声帯同士が完全に密着していなくても、ある程度、声帯同士が接近することができていれば、上記の「ベルヌーイの定理」により、自然に声帯を閉じることができるでしょう。
それでは、声帯の閉じ具合による違いについて詳しくみていきましょう。
- 1:声帯が完全に閉じている・・・息が止まって声が全く出ない
- 2:声帯がかなり閉じている・・・息が流れにくいため、詰まった声が出る
- 3:適度な力加減で声帯が閉じている・・・聞き取りやすく自然な声が出る
- 4:声帯が少しだけ開いている・・・息が多く、吐息混じりの声が出る
- 5:声帯が完全に開いている・・・・息だけが出て声にならない
歌うときや話すときは、基本的には上記(3)の適度な力加減で声帯が閉じて発声できることが理想です。声帯同士が大きく開いてしまうと、息が混ざりすぎた声になったり、芯のない頼りない声になったりします。
声帯閉鎖と聞くと、喉を締めた状態をイメージする方もいるでしょう。喉を締めた状態とは、喉の空間が狭くなっている状態のことで、声帯閉鎖とは異なります。喉を開く方法や締めるデメリットについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
声帯閉鎖を鍛えるメリット
声帯閉鎖を鍛えて、声帯の閉じ方をコントロールできるようになると、次のようなメリットがあります。
芯のある声を出せる
声帯を適度な力加減で閉じて振動させることができると、芯のある声が出せるようになります。ウィスパーボイスのようにあえて息を混ぜる歌い方もありますが、声帯閉鎖をコントロールできてこそ使いこなせるテクニックのひとつです。
声量が増えて声が響くようになる
声帯が無理なくしっかりと振動することで、響きのある声を出せるようになります。声量を増やすには、声を響かせることが大事です。響きが豊かな声は、例え小さな声でも聴き手にしっかりと伝わります。
声質をコントロールできる
自由自在に声帯の閉じ具合をコントロールできるようになれば、歌の中で場面に応じて声色を変えられるようになるでしょう。たとえば、声帯を少しだけ開いてあえて吐息混じりにさせる「ウィスパーボイス(ささやき声)」で歌ったり、あえて声帯を絶妙な閉じ具合にして「エッジボイス」を入れて歌ったりすることができます。
このように、声帯を自由自在にコントロールできれば、「喜怒哀楽」のような感情表現を始めとして、さまざまな印象の声を出せるようになるでしょう。
ささやくような甘いウィスパーボイスの出し方は、以下の記事で解説しています。
声帯閉鎖のトレーニング方法
声帯閉鎖を鍛えるときは、次のトレーニング方法がおすすめです。
エッジボイス
エッジボイスとは、声帯が適度な力加減で閉じられている状態で出す「あ゛あ゛あ゛あ゛」というガラガラ声のことです。映画『呪怨』に登場する幽霊・伽椰子が登場するときに出す声をイメージしてみましょう。
エッジボイスは、喉の力を抜いて声帯を適度な力加減で閉じなければ出せない声です。そのため音域に関わらず、リラックスしながら響きのある安定した声を出す練習になります。エッジボイスは、次のように練習しましょう。
音符
- ステップ1身体の力を抜いて、無理のない高さで「アー」と声を伸ばす
- ステップ2声を自分が出せる最低音まで、少しずつ低くしていく
- ステップ3最低音まで達したら、さらに声を低く出そうとする
- ステップ4「あ゛あ゛あ゛あ゛」というガラっとした声が出れば成功
エッジボイスを出せるようになったら、次は楽に高音を出せるように繋げていきましょう。練習方法の続きは、以下の記事で解説しています。
地声でスケール練習
地声は、声帯閉鎖が適切にできていないと、喉に負担がかかった発声になってしまいます。リラックスした状態で地声が出ているときは、胸部が振動するので、胸に手を当てた状態でスケール練習をしましょう。
スケール練習とは、
ド・レ・ミ・ファ・ソ・ファ・ミ・レ・ド
ド#・レ#・ファ・ファ#・ソ#・ファ#・ファ・レ#・ド#
レ・ミ・ファ#・ソ・ラ・ソ・ファ#・ミ・レ
などスケール(音階)を少しずつ高くしていったり、低くしていったりする練習のことをいいます。音が高くなるにつれて、喉まわりに力が入りやすくなるので、喉に負担がかかった発声になっていないかを確認しながら練習してみてください。
最初は、胸の振動をなかなか感じられないかもしれませんが、喉まわりの脱力ができるようになることで少しずつ感覚をつかめてくるでしょう。もし、喉がリラックスした状態で発声できていれば、声帯閉鎖が適切にできているといえます。焦らずじっくりと取り組んでいきましょう。
スケール練習用の動画がありますので、合わせながらエッジボイスの練習をしてみましょう。
声帯閉鎖がうまくできない人はボイトレのレッスンがおすすめ
声帯閉鎖のトレーニングをしても、方法は合っているのか、成果は出ているのかがわからない方もいらっしゃるでしょう。声帯閉鎖がうまくできない人、またはできているか自信のない方は、ボイトレのレッスンを受けてみてはいかがでしょうか。
プロのボイトレ講師に声帯閉鎖のトレーニングを指導してもらえば、短期間で効果を得られるでしょう。また、歌い方にクセがつくのを防げることもメリットです。音楽教室のシアーでは、無料体験レッスンを随時受け付けていますので、ぜひ実際のレッスンを体験してみてください。
おわりに
歌の更なる上達のために、声帯閉鎖を練習してみましょう。声帯を自由自在にコントロールできれば、ささやき声や芯のある通る声など、さまざまな歌声が身につきます。これらの声が手に入ることで同時に表現力も上がるため、ぜひ声帯閉鎖のトレーニングを習慣づけてくださいね。